資料U 国会衆議院法務委員会議録 (V)


○石山(陽)政府委員 石原委員の文芸春秋の記事を私も拝見しましたのでちょっと調べておきましたが、昨年1年間だけでございますと、具体的に名前を挙げるのはいささかはぱかられるのでありますが、戸塚氏の場合日照のための戸外運動回数は、これは未決でございますので裁判に出ていく場合はどうしても外れてしまいますが、延べで191回という実績がございます。1回の運動時間は現在のところ30分でございます。それから、昨年の7月からは1回40分に延ばしておりますが、これは一律そういうふうに扱っております。ですから、最初の御印象で半年27時間というのはちょっと少ないのですが、これは恐らく裁判への出廷その他の関係があったのじゃないかと思われます。

 それから、諸外国の例におきましても、立法例は、私がわずかな知識で承知している範囲では、欧米系でも戸外運動の時間は1人当たり1回で1番長いのは1時間、それから30分、大体この間で実施しているというのが諸外国の通例でございまして、特に日本の施設の場合少な過ぎるというほどのことはないというふうに考えております。

○石原(慎)委員 私の拙文にも書いたのですけれども、先ほど局長から、委員会の始まる前に立ち話をして、そういう誤認があったということを聞かされたのですが、相被告同士の会話で接見禁止の懲罰を食ったというのは、実は相被告だけではなくて、法廷の傍聴人との間の会話だったので懲罰をこうむった、それはあり得ることだと思います。そうすると、原則的に相被告同士の会話というのは許されていることでございますか。

○石山(陽)政府委員 委員も御存知の通りと思いますが、法廷が開かれております時には、刑事訴訟法294条でございましたか、裁判長の訴訟指揮権というのがございまして、全て法廷内の被告人の挙動等につきましては、発言の順番でありますとか回数でありますとか、これは裁判長の指揮によって行われることになります。したがいまして、この辺は裁判所の方からお答え頂いた方がいい問題かもしれませんが、法廷内におきます相被告同士の色々な発言その他につきましては全て裁判長の指揮下に入っておる、こういうことになりますので、もちろんその場合には、私どもの施設側職員の戒護権の問題ではなくて、全て裁判長におゆだねしている、これが実情でございます。

 ただ、監獄法の規定では、特に未決の刑事被告人の場合、御存知の通り未決勾留の目的そのものがいわゆる証拠隠滅の防止ということに重点がございますので、法の第17条によりましてみだりに交談しない、あるいは監獄外においても刑事被告人同士で交通することを禁ずるという趣旨の規定がございます。そのために、私どもは、法廷に入る前あるいは法廷の終わった後等でそういうような行為のないようにということは、出廷のたびごとに、出廷の護送をして参ります指揮者から、その日法廷に呼び出される被告人の人たちに対しまして注意事項として指導しております。

 たまたま今御指摘の例は、先ほどもちょっと立ち話で申し上げたわけでありますが、本件の場合には、私どもの漏れ承っている範囲では、何か裁判所の許可によりまして、開廷直後かどうか分かりませんが、あらかじめ決められた時間内で弁護士等との打ち合わせ時間というのが設けられております。そこでお話し合いになったり、被告人同士で色々打ち合わされるということは認めておるわけでございます。それ以外の場合は、開廷中でございますので先ほど申し上げた訴訟指揮権になる。ところが本件の場合は、実は被告人同士の発言を法廷中に、つまり開廷中に制限する趣旨は私どもは何もなかったわけでありますが、開廷直後に、傍聴人と被告人の1人の人がその制止を無視しまして交談を始めて、それを制止したということであります。

 それで、これに対します懲罰は、現在の監獄法には面会の禁止という懲罰はございません。これはどういうことかと言いますと、軽屏禁の処罰を受けたわけでございます。軽屏禁と申しますと、ちょっと字が難しゅうございますが、江戸時代で申しますと蟄居閉門のたぐいでございます。ですから、その反射効として当然に面会は許されない。しかし、この場合でありましても、弁護人それから特に緊急の用事があるという場合には、その懲罰執行中であっても面会を許すという扱いに現在はなっておる、こういうことでございます。

○石原(慎)委員 今の問題はよく分かりましたけれども、拘置所は、それこそいつ、だれが入るか分からない。田中さんだって入ると思って入ったわけじゃないでしょうし。つまり一般論として考えて、我々も国民の代表ですから、私もいい体験をしまして、これはとにかく色々改良の余地があるな、お金も足りないならこういうことにこそ充実しなくちゃいけないなと思ったのです。

 日照時間もさることながら、拘置所に勾留されている未決の拘置者に対する管理者の意識というものも、ちょっとこれから改善の余地というのですか、これは日本人独特のもので、もうちょっと欧米に近いものに変わっていかないと、余り逸脱しても困りますけれども、問題があるんじゃないかなという気がしたのです。

 戸塚君が、短い日照時間なんで、どんな洋服を着ていたか知りませんけれども、せっかく日が照っているから太陽を浴びたいので上半身裸にならせてくれと言ったら、だめだ、なぜですかと言ったら、見苦しいと言う。別に女の子がそこにいるわけじゃないんで、私たちなんかがそれを聞きますと、ふうんという感じがします。

 その他、今度は色々な制約があり過ぎて、本来の原則であります普段の生活に近い勾留状態にはなかなかなり得てないのではないかという感じが致します。例えば独房にいる人でも、中でヨガをやったり独自の体操をやったりするといけないので、安座するか正座するかどちらかしていろというので、年がら年中公判があるわけじゃないでしょうから、退屈きわまりないと思うのです。差し入れの本は私物として置いておくのは許されるそうですけれども、雑誌は、本でもそうですけれども、かなりのものがありますが、雑誌はどういうわけか知りませんが私物の範疇としてはとめ置くこともできない。読んだ後は没収されるそうですけれども、ここら辺の規定がどういうところから来ているのか、我々の普段の生活から遠いような規定があるという感じが致しまして、これは要求でございますけれども、ひとつできるだけ色々な改良をされまして、有形無形の形で拘置所が開かれた裁判を象徴するように、勾留者の普段の生活に近い状況になるような改善の余地がまだまだあるのではないかと思いますので、これは積極的にお考え願いたいと思います。

 時間がなくなってきましたけれども、法廷内で被疑者がとったメモあるいは弁護人との接見の時にとったメモは検閲されるそうですけれども、これは要するに法律でそういう定めがあるわけなんですね。

○石山(陽)政府委員 法廷内でとりましたメモ等については事実上、検閲という形では――信書の発受の場合に検閲は致しますけれども、そういう意味での検閲ということではなくて、どういうことをメモしたかどうかにつきまして、被収容者の動静を把握する、その傍ら、要するに未決拘禁施設の本来の使用目的であります罪証の隠滅工作その他が現実に行われなかったかということを予防的に確認するという形でやっている措置でございます。検閲と申しますと、接見交通の際に、文書の発受でございますが、これが監獄法に明文の規定がございまして、現在も行っておるところでございます。

○石原(慎)委員 色々けしからぬ謀議をしているかしてないかということのチェックのために、検閲というのですか、それを閲覧されるというのは拘置所内の保安のためにも必要な措置かもしれませんが、それはあくまでも原則と言いましょうか、当然のこととして、その内容は拘置所の中だけで承知されていて外部に決して漏らしてはいけないものだと思いますけれども、それは要するに、その内容を外部に、裁判当事者に拘置所から漏えいするということはまさに禁忌だと思いますけれども、いかがですか。

○石山(陽)政府委員 その点は委員の仰せの通りでございまして、あくまで私どもの事務の内部の問題でございますので、こういうものはみだりに第三者に公表したりあるいは発表したりということはあり得てはいかぬことであります。

 ちょっと余談になりますが、委員のこの間の雑誌の記事を拝見しておりまして、立会面接の際、弁護人が立ち会っておる面接の際でも内容が抜けるということの趣旨がちょっと書かれてありましたので私もびっくりしたのでございますけれども、弁護人が面接される場合には原則として無立会接見でございまして、一切立ち会いしておりませんから、そういうことはまずない。メモ自体とっておりませんし、話も聞いておりませんので、それは恐らく何かの誤解ではないかというふうに実は考えておるわけであります。

 それから、これももう1つ余談でございますが、やはり御執筆中にありました、先ほども御質問ありました中に、裸になって日光浴してはいかぬということも、これは1つの例で申し上げますが、被収容者には色んな人が入っておるわけでございまして、正直言って日光浴の際にくりからもんもんを誇示して被収容者に威圧をかける種類の者もあるわけでございます。1人やりますと、全部裸にして日光浴しなさい、北欧のスウェーデンの施設ならむしろそれを勧めるでありましょう。しかし、日本の場合にそれをやりますと、体にケロイド状の傷がある人はかえって嫌がります。そういうこともありまして、私どもの施設は厳正かつ公平を旨と致しますので、そういう措置もあり得るんだということを御理解頂きたいと思います。

○石原(慎)委員 大体質問はこれで終わりますが、私もこの問題、全く素人でございますけれども、色々見解の違いもございましたし、また説明の中で伺って納得する節も色々ございましたが、いずれにしろ係争中の事件を踏まえての私の生まれて初めての法務委員会での質問でありますが、私は自画自賛するわけではありませんけれども、こういう議論がこれくらいのレベルで積極的に行われることは好ましいと思うのです、他の件に関しましても。やはりそういう審議、討論の応酬の中で、そういうダイナミズムの中で直すべきものは直されていくでしょうし、また私も新しい関心を政治家として持ちまして、特に拘置所の実質的な充実ということには一般的な関心も抱くようになりましたし、そういう点でるる申し上げましたが、これはどういうふうに何にどう波及していくか私は分かりませんが、ともかくもこの事件に限らず、裁判というものはより公正により開かれた形で行われていくように、先ほど申しましたように自白というものが段々比重を増してくる傾向がございまして、こういうものに対する批判もあるようですけれども、それをまた充分政府当局もしんしゃくされまして、国民が司法に大きな疑念を抱くことのないようにひとつ御努力願いたいということをお願い致しまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

○嶋崎国務大臣 ただいまの委員の御発言につきましては、司法のあり方等について一般に、党の中でもあるいは個々の議員の皆さん方が関心をお持ちになって頂くことは当然のことであるし、それについてある程度の論評をされるということも結構でございますが、ただ、現に係属中の事案であったりする問題につきましては、具体的な問題としてこれを処理するというのはなかなか難しい点があろうと思うのです。したがって、そういう点について充分配意をしてもらわなけれぱならぬことは当然でありますけれども、そういう中で色々論議されるのは結構であろうというふうに思っています。

 それから、先ほど私は事実と言いましたけれども、あれはしゃべり間違いでございまして、容疑でございますから、よろしく……。

○石原(慎)委員 終わります。