10月になり、スクールはすっかり落ち着いた雰囲気。新人の地平君(24歳、無気力)も、今のところはおとなしく訓練を受けているようです。ゴネることもなくなったとか。
台風が来ると強風が吹くため、本来は喜んで海に出ているはずのスクール。それがどうしたことか、今年の台風はいい風を運んできません。何度も期待を外されているとか。今回の台風もそう。雨ばかりで風はなく、スクールでは作業の日が増えています。
季節の変わり目になると、当然のように流行るのが「風邪」。スクール生は普段よく鍛えていますが、それでも誰かが風邪をひくとどうしても伝染していきます。これも集団生活の成せる技か…。寝込む時は何人もまとめて寝込んだりします。ただまぁ、手厚い看護などしなくても、治るのはみんな早いものです。
現在、電話に出る小杉コーチの声がガラガラ。それで「もしや?」と思ったのですが、案の定、風邪が流行り始めていました。現在、寝込んでいるのは大本君(18歳、元非行)と曽我君(22歳、無気力)。大本君はちょっと前まで歯の治療のため訓練お預け状態でした。それが終わると今度は風邪。ウインドサーフィン大好きなだけに、可哀相に…。
曽我君といえば、何でも将棋の腕がかなりのものらしいです。いったいどこで覚えたのか。はたまたそれが慶応大卒の1つの表れなのか…。小杉コーチは「井上とやらせてみたかった」と言いますが、井上君も将棋が強かったとは意外。
井上君とは、去年脱走したままの生徒で、当時27歳・引きこもりでした。慶応高校卒、慶応大中退。そういえば、彼も慶応。でも、曽我君とは比べものにならないほど、問題は深刻でした。一日中、手ばかり洗い、人とは目を合わせられず、常に挙動不審にウロウロ、オロオロしている。「引きこもりは放っておくとこうなります」という見本のような生徒でした。
そんな彼も、訓練の中で徐々に言動に改善が見え始め、それにともない脱走が頻繁になりました。3ヶ月で、実に12回の脱走は、スクールでも大記録です。今も彼は家と森田療法の施設に現れては消え、現れては消えしているそうです。しかも彼は、両親のいない間に家に入り、戸塚ヨットのビデオを観ているとか。「帰りたいです」と、自分から電話してきたこともあります。でも帰れない。そんな弱い彼だからこそ、親御さんに引っ張ってきてもらいたいのですが…。よくなりかけていただけに、私自身、未だにあきらめきれない事例です。
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