2002年8月30日(金)    榎本君の面会

30日午後2時頃、榎本君(16歳)の母親が突然スクールにやって来ました。息子と面会するためです。戸塚ヨットでは、入校後の父兄面会はまず卒業間近までありません。たまに特例として、イベントの時だけ父兄を呼ぶことがあります。長野県・木崎湖でのキャンプや、沖縄での長期合宿の時などです。

ただ、そんな時でも、呼ぶのは安心できる生徒の親だけ。親に会ってももう、動揺しないだろうと見込まれた生徒だけです。たまに押しかけてくる親御さんもおられますが、会うことが生徒にとってマイナスになるなら会わせません。

榎本君は入校して半年。最近、本当に吹っ切れた感じで訓練にも前向きに取り組んでいます。「もう、会わせてもいいだろう」――これが小杉コーチの判断でした。

実は、つい先日の「スーパー8」の時にも、親御さんは会場にみえていたのです。このこともコーチは了解済みで、会っても構わないという許可までおりていました。でも、親御さんの方からそれを遠慮されたのです、「会って動揺させたらと思うと…」と言って。それが急転直下、「やはり会って話したい」ということになったようです。

話題は榎本君の進学のこと。まだ早いと言えば早いのですが、親御さんはもう、スクール卒業後のことで頭がいっぱいな様子です。ちょっと前まで、"今"のこと、明日のことで頭がいっぱいだったはずですが、それだけ親御さんにも余裕が出てきたんでしょうね。

親御さんの希望は全寮制の高校。つまり、親元に置けばまた元の木阿弥になるのを恐れているのです。確かに、親元ではどうしても甘えが出てしまいますから、子供は早くに外に出した方が強くなるような気がします。でも、今のところ本人は元の高校に戻りたいと言っているとか(2年遅れになりますが…)。

ただ、これは入校後半年の時点での話。これからどんな風に考えが変わるか分かりません。大本君(18歳)だって、親はどうしても大学に行かせたいのに本人は勉強嫌い。就職しか考えていなかったはずが、先日から急に大検の勉強を始めるようになりました。訓練の過程で自分の中の変化を感じ、可能性を感じ出したら将来の夢まで変わってきます。決めるのはギリギリでもいいんじゃないでしょうか。

さて、突然母親に引き合わされた榎本君(先日のレース時は、親御さんは隠れていた。バレバレでしたが…)。小杉コーチが、「一晩一緒に泊まって来い」と言うと、態度はぶっきらぼうながら顔には満面の笑みがこぼれていたそうです。やっぱりうれしかったんですね。そこでさっそく母親は父親にも連絡をつけ、一晩親子水入らずとなりました。31日の昼にはまた、合宿所に帰ってきます。


※文中の生徒名は全て仮名です。

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