2002年8月8日(木)    水を得た魚

8日も午前中は風がなく、道具の修理。午後1番に買い物に行きました。

買い物に行けるのは、コーチが「もう大丈夫」と見込んだ者達だけ。何と言ってもお金を預けるのですから、脱走の心配があるものには行かせられません(買い物以外で生徒にお金を持たせることはありません)。

1日の予算は1万円。これでその日の夕食、翌日の朝・昼食をまかないます。ですが、合宿所は約20人の大所帯。1万円で収めるのもなかなか大変です。今日もレジに行ったら1万410円の文字が…。現在、買い物責任者である大本君(18歳)は慌てることなく、ひき肉1パックを返品します。これが牛乳をバックすることもあればドレッシングをバックすることもあって。とにかく、きちんと1万円で必要なものを過不足なく揃えるのです。まさに、"活きた"家庭科の実習。

5人がかりで買った物をぶら下げて帰り(スーパーは合宿所から歩いて3分)、帰るとすぐに夕食の下準備です。ここでも仕切りは大本君。榎本君(16歳)や元シンナー中毒の上田君(21歳・3月入校)、無気力で自分から入校した栗田君(34歳)をテキパキ動かし、あっという間に豚肉のしょうが焼きの準備が完了。肝心の味付けは大本君が自ら目分量でやっています。さすがに手馴れたもの。

午後2時。風はどんどん上がってきます。すでに、古参の生徒達の心は躍っているようで、「今日はどのセールを張ろうか」と揃って海上を凝視。訓練が始まると、我先に海に飛び出します。

今日はどうやら久しぶりの強風だったらしく、みんなまるで"水を得た魚"のよう。ぐんぐんスピードを上げる者もいれば、波に乗ってジャンプする者もあり。もう、ウインドサーフィンが楽しくて仕方ないといったところです。

私はそれを海上の救助艇から見学。しかし振り返って波打ち際を見れば、まだまだ初心者のメンバーがひたすら波にもまれています。風が強い日を喜ぶのはうまい者だけ。それ以外の人は、ただひたすらに「自然の脅威」を身にしみて感じ続けるのです。これがまた、自分の無力さ、ちっぽけさを体得するのに必要不可欠な体験なんですね。

午後5時近くまで海上訓練をしましたが、なかなか風が落ちず、そうなると古参の生徒達は陸に上がりたがりません。いつもいつも風が吹くわけではないので、たまにいい風が吹いた日はあくなく乗り続けたいのです。それほどに、ウインドサーフィンというのは"ハマル"と病みつきになるスポーツだと言えます。

午後8時。今日は家庭教師の日です。先生は松木コーチ(早稲田大学卒・31歳)。生徒はもう勉強する必要もなくなった年配者(赤木君・42歳など)を除いてほぼ全員です。家庭教師は大体週に2日。それ以外で勉強が必要な者は、訓練の合間に少しづつやっています。

中で、大本君だけはパソコンの練習。これからは、戸塚ヨットでも職業訓練が大切になってくる時代です。


※文中の生徒名は全て仮名です。

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