2002年9月2日(月)    投薬の怖さ

最近、引きこもりの成人男性の相談が随分増えています。彼らは何の生産活動もしていません。それでも"生かされて"います。毎日だらだらテレビを見て、漫画を読み、ゲームをやって生きている。これが果たして幸せでしょうか?彼らは突然そうなったのではありません。小中学校時代に、既に不登校傾向のあった人達ばかりです。その時にトレーニングしていたら、今のような無意味な生活を送ることもなかったでしょう。

戸塚ヨットでは生徒に年齢制限を設けていません。でも、20歳を過ぎた人間を、根本から鍛え直すのは大変なことです。時間もかかるし、得られる成果も小さい。もっと早く相談に来ていてくれたら…、と思うことばかりです。親御さん自身、もっと早く相談に行っていたら…と後悔の日々。でも、ほとんどの親御さんは児童相談所やカウンセラー、精神科を回っているんですよ。それでも何も変わらない。

非行と不登校の大きな違いは、非行の方が問題行動が分かりやすいという事。親も犯罪に巻き込まれて欲しくないから、なるべく非行の芽が小さいうちに摘もうとします。でも、不登校は大して害になりません。親も、そのうち何とかなるだろう、くらいに思っています。何ともならなくなり、奇怪な行動や、家庭内暴力などが始まってから慌てて動き出す。これでは遅いんです。

非行も不登校も、そのうち何とか…という考えはまず捨てて欲しいです。どちらも子供が成長しきれていないシグナルですから、成長させる行動をとらせないと。いつまで経っても子供のまま。変に知識だけが身についていきます。

戸塚ヨットで成人を扱う時、やっかいなのがこの「知識」。彼らはすぐに「訴えてやる」とか、「お前らに何の権利があってこんなことをするんだ」等と言います。逃げて自分から警察に保護を求めたり、人権擁護団体に駆け込んだり…。未成年の倍の手間をかけさせるのです。

そして更にやっかいなのが「薬」。引きこもり歴の長い子は、ほとんど精神科の外来を受け、投薬経験を持っています。この投薬歴が長い子は、もう戸塚ヨットでもどうしようもできません。

精神科の薬は、要するに脳神経を麻痺させる薬です。そんな物を飲み続けていれば、脳自体に障害が起こっても不思議ではありません。障害の起きた脳は、いくらトレーニングしても再生することはできないのです。だけどこんなことは誰も教えてくれません。親御さんは医者の言うことを信じて、子供に薬を飲ませ続けます。そして何年も様子をみてから戸塚ヨットに相談に来るのです。

これは、親御さんにとっても、むろん本人にとってはもっと不幸なことです。今、もし引きこもりの子供に大量の薬を飲ませている人がいたら、是非それだけはやめて欲しい。急にやめさせれば副作用もあるから単純ではありません。でも、飲ませ続ける対症療法だけを続けるのはやめて欲しいです。戸塚ヨットとしても、何も知らなかった親御さんに、「薬を飲み続けているから入校できません」と言うのは心苦しいのです。


※文中の生徒名は全て仮名です。

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