| 2003年10月15日(水) |
合宿所便り NO.59 「林君、料理長に就任!」 |
どんよりとした天候の続いた後、やっと風が吹き出し、空も晴れ、いざ矢作(やはぎ)川に出陣となりました。
山口コーチも相原君も、まだ風邪が治りきっていないのに、そんなことはおくびにも出さず、心は朝から矢作川に飛んでいます。
道具を積み込み、急いで昼食を用意して矢作川に行ってみると、さすがに肌寒くなってきています。
先行したみんなは艤装を始めていますが、相原君が何かニヤニヤしながらやって来て、見慣れぬセールを見せてくれました。聞くと、よそからウインドをしに来ている人に話し掛けてみたら、「これ、あげるよ」と気前よくセールをくれたのだそうです。ちょうど小さめのセールが欲しかったところなので、大喜びの相原君。幸先の良いスタートです。
相原君にとっては、プレーニングに最適の風。山口コーチと2人、同じガストラ(メーカー名)のセールで一緒に走り、ジャイブを繰り返して、川の中央を突っ走っています。飽きることなく、走り続ける2人。他のセイラー達も集まって来て、みんな、抜きつ抜かれつ、時の経つのを忘れています。
ハーネス練習中の林君も、前に倒れ、後ろに引っくり返りしながら、こちらもひたすらハーネスの掛け外しを繰り返し、時々、サァーッと走っています。
秋吉さんは、今日もビーチスタートの練習。段々、深い所でスタートできるようになり、思いきりの良い走り方で、結構スピードも出ています。2人とも初心者レベルを脱し、次の段階に入るところ。その分、ウインドも楽しくなってきています。
一方、相変わらずやる気のない瀬尾君は、岸辺の浅い所をウロウロしながら、人の顔ばかり見ています。
10日に入校したばかりの仁科君(19歳、家庭内暴力)は、まだ艤装もまともにできず、もうかれこれ1時間以上、ロープを引っ張っています。簡単で、さほど力も要らないものなのですが、信じられないほど、力を入れることができないのです。もしかしたら、箸より重い物を持ったことがないのじゃないかしら、とさえ思えてきます。実際は、力の入れ方が分からない、ということなのでしょう。重いボードは平気で持っていますから…。
動作もゆっくりな彼は、口数が少なく、ほとんど口を動かさずにしゃべるので、「はい」という返事がハッキリせず、よくコーチに叱られます。
ここでも結局、コーチに手伝ってもらって、やっと艤装完了。しかし、水に入る、熱心にセールアップの練習を続けていて、案外、真面目さも感じられます。
午後いっぱい、各々のレベルに応じた練習を続け、練習終了後はまた、道具をトレーラーに積み込みます。この時間になると、日は傾き、風は冷たく、体も冷えてきますから、みんな黙々と片付けます。が、まだノロノロしている人の方が多く、テキパキと仕事が進みません。たぶん、もっともっと寒くなれば、否応なしに仕事は早くなるでしょう…。
合宿所では、新しく、林君(32歳)が料理長に就任しました。本人は、「いやあ、ボクはまだ…。誰か他に…」と逃げているのですが、「他の人に頼ることばかり考えないで!林君がやらなきゃ」。
相原君(15歳)も、「そうですよ。いつまでもそんな事ばかり言ってないで、もっとみんなにビシッと言えるようになって下さいよ!」と、厳しく自覚を促しています。
林君も、「じゃあ、今日は何?」と、料理の特訓が始まりました。
今日はみんなお腹がすいているので、ボリュームのある「チキンカツ定食」をリクエスト。衣をつけて揚げるやり方を覚えてもらうことにしました。
「これは?ああ、鶏肉ですね。こっちはー?小麦粉?あ、パン粉ですか、これが。えっ、やっぱりパンなんですか、これ?ちょっと(と、一つまみ口に入れ)…。あ、ホントだ、パンですねえ、ハハハ。で、肉に小麦気をまぶす?あ、つけるんですね。あー、わらび餅みたいですねえ、ハハハ。なるほど、わらび餅に卵をつける、はあー。それからパン粉をこうやってー。じゃあ、これは"若鶏のパン粉揚げ"にしましょうか」――というわけで、林料理長の1日目のメニューになりました。
しかし、この時は"パン粉揚げ"を覚えるために、すぐ翌日に「トンカツ定食」が待っているとは、知る由もなかったのでありました。
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