2003年10月6日(月)    合宿所便り NO.56 「非常識人間達」

思いがけず風に恵まれた後は、また穏やかな秋空。
今日は作業日なので、午前中は合宿所をいつもより念入りに掃除します。台所のたたきも隅にゴミが溜まっているし、ステンレスの流しやレンジ台も汚れてきているし、資源ゴミもごちゃごちゃ。
1階は台所を中心に掃除することにして、2階は風呂場のタイルの汚れを取り、トイレを磨き、その後、本棚などのあらゆる棚やテレビ、パソコンなどを拭いて回ることにしました。

「あ、そこまだ汚れてるでしょ!」「そっちももっとよく拭けよ!」と、コーチ達も私も、まるでお姑さんみたいな感じです。もちろん、意地悪をしているのではないのですが、つい、こういう口調になってしまうほど、みんなまったく掃除が下手くそなのです。

まあ、元々やる気がないのだから致し方ないとはいえ、労働意欲というか、生産性というか、とにかく"きれいになったら気持ちがいい"という感覚が毛頭ないのです。仮にも、自分の生活している場所なのですから、少しでも快適に、と思うのが当たり前だと思っていましたが、一向に何の興味も示しません。

――他人にあれこれ指示されたり、眠いのに朝早く(何と7時に!)起こされて、やりたくもない体操をやらされたり…。食事の際は箸の上げ下ろしから注意され、やったこともない掃除をさせられ、"なんて所だ、ここは!オレはこんなことするために生きているんじゃないぞ!"――という気持ちでいっぱいなのでしょう。嫌々でも、やるだけマシなのかも…。
初めから多くを望んでも仕方がない、と、気を取り直して、のろのろした作業に付き合うコーチ達。ひょっとして、これは私達の忍耐力が試されているのではないか?とさえ思われます。

さて、台所の方は…。こちらは慣れた生徒達の担当ですから、コーチ達があれこれ言うまでもなく作業が進み、一緒に掃除をしていてもテキパキとして気持ちがいい。
ステンレスがピカピカになると、「あ、顔が映ってる!」と喜び、下に落ちた野菜くずやホコリがなくなると、「あー、さっぱりしたー」とほっとし、小奇麗になった台所を満足げに眺める相原君と林君。
こういう常識人になるのに、何ヶ月もかかったり、時にはついに常識人にならずに終わってしまう人もいるのです。

掃除は午前中で終わり。午後は冬に備えてドライスーツの準備をします。
ウインドサーファーは、真冬でも海に入りますから、それなりの防寒具が必要になります。各自、カタログを見てサイズを測り、メーカーに発注するのです。
ここでも、"ブランド男"の林君は嬉々として迷いに迷い、カタログを熟読しています。
が、秋吉さん、瀬尾君、江口君達も事情は同じ。みんなブランドにはかなりこだわっていて、金に糸目をつけず(!)、親の懐などお構いなしに注文しています。何とのんきな人達でしょう!

それにしても、昨今の素材革命は素晴らしく、年々温かい製品が登場します。結局、午後いっぱいかかって、やっと採寸が終わりました。

夜は久しぶりに武道の稽古。秋吉さん、瀬尾君、江口君は強制参加。秋吉さん以外は、何が始まるのか訳が分からず、キョトンとしています。

今日は"蹴り"。骨盤を意識して動かす練習です。
江口君はサッカーのよう。秋吉・横田(私)チームは相変わらずお遊戯で、山本・田中両コーチとは、まるでかけ離れています。それでも、"蹴り"の練習は(私にとっては)今まで意識したことのない動きでもあり、とても面白く、すぐに汗だくになってしまいました。


※文中の生徒名は全て仮名です。

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