| 2003年10月8日(水) |
合宿所便り NO.57 「実社会で役立つために」 |
まったくの凪。曇りがちで、静かな落ち着いた秋の一日。
午前中はセール修理。午後は、広場に溜まった木くず、古い船のゴミなどを掃除することになりました。
例によって、労働には向かない人達。それでも、山本、田中両コーチの存在感に押され(?)、のろのろとではありますが、仕事をしています。
ちょうど広場の隣で、大きなドラッグストアー建設工事が行われていて、あちらは音楽をかけながらもテキパキと無駄なく仕事が進み、こちらとは大違い。あちらでも時々叱声が聞かれますが、そこは現実の社会。やはり厳しさの質が違います。
工事現場の皆さんも、何かと気になるらしく、ヨットスクールの生徒達を同情の目で見ているようです。が、果たして、この生徒達をあちらで雇ってくれるでしょうか?実際に役に立つ、仕事のできる人間にならなければ、現実の社会では通用しません。単に「可哀相」という感情だけで、接するわけにはいかないのです。
瀬尾君は、ここでも常にキョロキョロと周りをうかがうことをやめられず、上目遣いで人の顔ばかり見ています。体重は増えていますが、まだまだ標準には及ばず、また、筋肉も脂肪も少なく、体の筋も硬くこわばっていて、ケガをしやすいようです。
それでも、入校時と比較すれば、主治医も驚くほどの変化を見せています。入校直後から食欲は凄まじく、他の生徒のご飯をもらって(盗って)食べることもしばしばで、気の弱い子は簡単に被害に遭います。
それにしても、瀬尾君の心と身体を健康にするには、かなりの時間を要するかもしれません。
ところで、瀬尾君は入校当初、他の生徒達から「ペテン師瀬尾」と呼ばれていました。遊びの時間の新聞紙たたきの時に、誰かが言い始めたものですが、入校以前の瀬尾君の生活(うそつき常習犯)から考えるに、"言い得て妙"とも思われるあだ名です。こういう時の生徒達の観察力には、驚くほどのものがあります。
江口君は、今のところ可もなく不可もなくというところ。
そして秋吉さんはと言えば、入校時と比較すると、体重が10kg以上減り、まだ大雑把で荒っぽい動きが残っていますが、体の動きもだいぶん機敏になってきました。最初は、「よっこらしょ」と手をついて、大儀そうに立ち上がっていましたが、ある時気付いてみたら、手にお盆を持ったまま、すっと立ち上がっているではありませんか!本人も「あっ!」と気付いて、嬉しそうに笑っていたということがありました。
最近では、それも当たり前になり、「家では(立ち上がるのが億劫なので)這って動いていた」というのが嘘のように、さっと動きます。ウインドにも掃除にも積極的になり、他の男の子達にビシビシと指示を出すこともしばしばです。
広場が片付くと、木切れを海岸に運んで焚き火を始めましたが、風もなく、いかにも"焼き芋日和"。さっそく台所からさつま芋を持って来て、焚き火の下の熱い砂の中に埋め、その上でどんどん火を燃やしました。
瀬尾君、江口君、秋吉さんの3人は、もう清掃作業にうんざりし始め、なかなか動きません。焚き木を集めたり、燃やしたり、遊びのようなことでも、あまり興味が湧かない様子。
ところで、お芋は…。熱い砂を注意して掘り起こすと、中には少し硬い所もありましたが、小さめのお芋はちゃんと焼き芋になっていて、海岸でのいいおやつになりました。
もう日も傾き、静かな秋の夕暮れ。今日は十三夜です。曇っているので少し心配ですが、お団子を作り、ススキを飾って、就寝後の"月見どろぼうPARTU"の準備をします。
今日も夕食の仕度が遅くなってしまったので、お団子係は晋平(小6、次男)に任せましたが、でき上がった物はちっとも丸くないのばかり。中にはうさぎの形まであって、やっと13個、それらしいのを揃えてお供えしました。
就寝後、今回はほとんどの人が眠ってしまい、どうやら(食いしん坊の)瀬尾君1人が、お団子を食べたようでした。
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