| 2003年12月29日(月) |
合宿所便り NO.75「餅つき」 |
今年も、残りわずかとなりました。今日はいよいよ「お餅つき」です。毎年この時期、合宿所では、お正月の鏡餅や切り餅用の餅をつきます。今年はもち米を45kg位使いました。精米し、全部研ぐだけでも大変な作業。昨日、秋吉さんと白岩さんが腕まくりして、冷たい水で何時間もかけて研いでくれました。
台所では、朝から蒸し器の湯気が立ち上り、大きなお鍋いっぱいのあずきが煮え、きな粉と大根おろしの用意もできています。
合宿所前のデッキにはテーブルが出され、石臼(うす)や杵(きね)も揃えられて準備完了。
最初のもち米が蒸し上がると、さっそく餅つきが始まりました。初めは山本コーチ。力強く、杵を振るいます。男の子達は、かたまって見ているばかり。こちらから働きかけないと、動き出す様子もありません。
一方、女の子達は、朝からずっとはしゃいでいて、「今日はお餅を食べまくる!」と宣言しています。
最初のお餅ができ上がると、すぐにちぎり、テーブルの上のもちとり粉にまぶして丸く形作り、鏡餅を作ります。女の子達はもう始めているのに、男の子達は「さあ、急いで!」とハッパを掛けても遠慮勝ち。初めてなので勝手が分からないのでしょうが、温かいお餅はモタモタしているとすぐに固くなってしまいます。
みんながお餅を丸めている間にも、もう次の餅つきが始まり、それもでき上がると、また鏡餅作りです。そのうち、山本・田中両コーチも一緒になって餅を丸めだし、その間は全員が交代で杵を振るいます。が、餅つきは初めてという人ばかりですから、杵を石臼に当ててしまったり、杵にお餅がくっついて、振り上げた途端に地面に落としてしまったりと大騒ぎ!
それでも何臼かつき上がったところで、できたての温かいお餅を食べることに。最初はぜんざい。次はきな粉餅。そして大根おろしのからみ餅。みんな、欲張ってたくさん食べています。
こうして、何臼もついてのし餅をたくさん作り、また食べ、お腹いっぱいになりました。
お昼は暖かい堤防の上で休憩です。おしゃべりに花を咲かせる林くん、江口くん、瀬尾くん。真木君、秋吉さん、文平、晋平は、スケボーに興じています。
晴れた冬の日の午後、いつもの訓練や作業とは異なる雰囲気です。
"餅つき名人"登場!
さて、のんびりした後は、また餅つき再開。台所の蒸し器は休まず湯気を立て、蒸し上がったもち米は、次々に石臼の中へ。そして、「いったい、いつまで餅つきするんだろう?」とみんなが思い始めた頃、近くを初老の紳士が通りかかりました。
「ああ、皆さん、あまり餅つきはやったことありませんね?」
と言うと、やわら上着を脱ぎ、
「はい、お餅を返す人はここにしゃがんで。そう、真正面じゃ危ないでしょう。じゃあ、いきますよ」
と、本当にいい音を立てながら、お餅をつき始めました。杵を振り下ろすのも、無駄な力を使わず、きれいにストンと落としています。そして程なく、滑らかな、ツヤツヤしたお餅ができあがりました。
「うーん」とうなる一同を前に、
「いや、私はもともと百姓ですからね。皆さんの餅つき、つい、見るに見かねてやって来てしまった。でも、今時こんな大勢で餅つきをする所は、あまり見かけませんからねえ。いや、どうもありがとう」
とんでもない!「こちらこそ、どうもありがとうございます!」
「お餅をご一緒にどうぞ」と誘いましたが、連れの方を待たせているとのことで、すぐに帰ってしまわれました。
それからは心機一転。先ほど熱心につき方を観察していた山本コーチは、さっそく杵を振り下ろす練習をし、「ようし」と真剣な面持ちで餅つきを始めました。そして、生徒達にも「ちゃんと見ていたかどうか、やってみろ」と杵を渡し、厳しい目で見ています。皆もさすがに真面目な顔で餅つきをしていますが、名人のようにはいきません。
「あと何回分ぐらい、お米残っていますか?」――「4回分くらい」
「あと何回分?」――「まだ…、4回分…?」
といったやりとりがしばらく続いた後、やっと、「ああ、あと1回分!」となりました。
その頃には日も落ち始め、風も冷たく感じられます。
1階のテーブルの上には、のし餅が10枚以上。鏡餅用の丸いお餅が何十個も積み上げられています!お正月はずっとお餅を食べ続けることになるでしょう…。
主体性ゼロの男の子達
やっと餅つきが終わると、粉だらけのテーブルを片付け、せいろや蒸し器、石臼、お椀などを洗います。
ぞろぞろと台所の中に入って、手を洗う男の子達。その時、外で「おーい、テーブルの上を拭くふきん持って来い!」と声がかかりました。すると、瀬尾君、江口君、仁科君ら、ほとんど全員の男の子が、「ふきん!ふきん!」と言い合って、片っ端からふきんをさらって出て行きます。外のテーブルには、お椀やせいろなど、片付けるものはたくさんあるし、台所の中も洗い物でいっぱい。テーブルを拭くのは2人くらいで充分なのに。
「ちょっと!何でみんなで同じ事するのよ!こんなに洗い物たまってるのに!」
と、秋吉さんがプリプリするのも無理ありません。
そういえば、男の子達には、何か言われると全員でゾロゾロ同じ事をする、という場面がよく見られます。逆に言われなければ、ずっと眺めているだけ。指示待ち人間なのか、怠け者なのか、無関心なのか、はたまたその全部なのか…。
あたりが薄暗くなり、かなり寒く冷え込んできた頃、ようやく片づけが終わりました。長〜い、餅つきの一日が終わったのです。
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