2003年5月31日(土)    合宿所便り―その5―「新入生と卒業生」

今朝、新入生が1人入校しました。林君、32歳。家庭内暴力です。
7時からさっそく山口コーチの、挨拶と整列の指導がありました。背筋を伸ばし、はっきり、きちんとおじぎをしたり、声を出すのは難しく、みんな緊張していました。林君は、やはり一番おどおどしていて、視線が定まらず、どうしていいの分からない様子です。

掃除の時は、先輩に昇格した秋吉さん(中2、女、不登校)が、18歳年上の林君にビシビシと指示していましたが、今まで自分では何もやったことがないらしく、秋吉さんも呆れ顔です。林君はしきりに、「自分は今までちゃんとやってきた。家に電話させてくれ」とせがみます。が、言い訳はいっさい聞きません。それまでの家庭内暴力のひどさは、親御さんからしっかり聞いていますから。

午前中は台風で大風が吹いていて、まずみんなで昨日のウインドの様子をビデオで観ました。が、林君は1人落ち着かず、立ったり座ったり、周りの人達の顔を不安そうに見ていたりします。その後、ロープワークとファイブステップ(ウインドの基本)を中川君(18歳、元無気力)に教わっていましたが、林君の態度があまりにも悪かったらしく、後で中川君は、「何度も殴ってやろうかと思った」と言っていました。

その間、相原君(15歳、元無気力)、地平君(24歳、元無気力)、野島君(22歳、元無気力)、田口君(31歳、元引きこもり)はセール修理、秋吉さんは、台所でおやつと夕食の準備を手伝いました。

林君については、「優しくて、おとなしそう」――などとお茶をにごしても仕方ないので、はっきり言わせて頂ければ、「男らしくない、幼い。それでいて若さもない」という印象です。このままおじさんになってしまっては気の毒なので、ここは厳しく接するのが親切というものでしょう。

さて、午後は艤装してウインドです。屋上で大量のタオルを干しながらみんなが海上を走るのを見ていると、予想以上に風が吹いてきて、いきなり飛ばされたりしています。何人かで競争したり、道具を交換して走ったり、仲良くやっています。

と、そこへ卒業生の児玉君(15歳、元非行)がひょっこり現れました。定時制高校に通いながら、アルバイトとウインドをしていますが、児玉君と言えば伝説の人物で、つまり、ウインドがすごくうまいのです。

さっそくウェットスーツに着替え、みんなの道具を借りて、ひとしきりフリースタイルを披露。最後はループもして見せてくれました。児玉君は動きも乗り方も全然違っていて、見ていて楽しくなりますが、その気分はみんなにも伝染します。こういう人がいると自然に士気が上がります。

児玉君は、みんなと夕方の買い物に行ったり、台所で好物のもやし炒めを作ってくれたりと、合宿所にいた頃を思い出します。夕食を一緒に食べてから、今日は友人の家へ泊まりに行くんだと言って出て行きました(合宿所から中学に通っていましたから、この辺りに友人がたくさんいるんです)。


※文中の生徒名は全て仮名です。

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