今朝は晴天。まぶしく光る海に、アサリ漁の船が15隻も来ていて、エンジンの音が響きます。
体操の時間、2階の生徒達は昨夜のお客様への礼を欠いた態度を一喝されました。部屋にお客様が入っていらしても、だらしなく座ったまま挨拶もせず、一瞥を投げるだけ。こんな恥ずかしいことはない、と。もちろん、その場でも注意されたのですが、みんなキョトンとして事情が飲み込めない様子でした。これでは"レベル1"、ほとんど幼稚園からやり直す必要があります。
9時からはブルーム・レースのビデオを観て、その後、ボードとセールの修理。ここ(合宿所)では、男子も年中針を持ってセールの破れを繕います。"海の男"であるコーチ達は、セール修理、大工仕事等々、何でもできます。ヨットで外洋航海の経験もあり、いざとなれば粗食にも耐えられるようですので、女の側からするとあまり手がかかりません。
また、以前校長先生が、生徒を前にした講義の時に、「人間を含めて、生物の目的は種族保存であるから、男は家族を守り、育てなければならない。だから『男は甘えるんじゃない、甘えさせるのだ』」と、おっしゃっていました。こんな風に自立した男になってくれればとても助かりますので、甘えん坊の生徒達をそのように育て上げねばなりません。
というわけで、第一段階、「自分のことは自分でする」です。
さて、昼食の準備は15歳の相原主任(元無気力)の下に、22歳の野島君(元無気力)と24歳の地平君(元無気力)の3人です。地平君、野島君は、始めは何を言われても「えっ、ボクですか?」と、まさか自分が手を下すとは信じられない様子。「自分はこんなつまらない仕事をする人間じゃない」という態度でした。だからとんでもなく仕事が遅い。しかも、言われたことをやるだけですから、手順も覚えず、トンチンカンなことが多い。それが、最近は見違えるばかりになりました。
おかげで台所は活気づき、色々な料理が作れるようになりました。みんな、いつも海に入ってお腹ペコペコなので、食事の量はかなり多いですが、どれもきれいに食べてくれ、とても嬉しく思います。
午後は夏のような暑さの中、ウインドです。北西の微風。波が立たないので乗りやすく、秋吉さん(中2、女、不登校)も、「初めて沖まで走れましたぁー!」と嬉しそう。こんな日は、浜に帰るのはずっとタック(風上に向かう方向転換)を繰り返さねばならず大変。帰れない人はレスキュー艇で連れて帰ります。微風の日は根気がいるのです。
ふと見ると、案の定、地平君(24歳、元無気力)は疲れた様子。先日、自分の要求が却下されて以来、少々投げやりになっているのですが、夕方の台所でも人参相手に腹を立てています。お昼のチャーハンに入れる人参をみじん切りにしていたのですが、初めから面倒くさそうに目の敵。まったく、人参ごときにガタガタするとは情けない男!微風の上りも、人参のみじん切りも、根気よく丁寧にやらなければ…。
そういう子供っぽい24歳の地平君を15歳の相原君がうまくさばき、夕食の準備完了。
食後は8時30分から"遊び"の時間の始まり。例によって新聞紙叩き合戦から。いきなり部屋中が
「痛い、痛い!」「バカ、やめろ!」「くっそぉー、やったなテメェ!」
という悲鳴、笑い声、ドシン、ドシン、バシッ、バシッ…であふれ返り、全員、子供に返って思い切り叩きまくります。
いつもは取り澄まし、ふてくされ、また無気力でいながら格好をつけている人には特に効果があり、無表情だった顔にも次第に感情が現れ始めました。人間関係が希薄な中で育った子は、体でぶつかり合って、初めて連帯感や思いやりなどの感情が生まれてくるように思われます。全体に、子供の頃に大勢で思い切り遊んだことがなかったようですが、このことをもっと真剣に受け止める時期にきているのではないでしょうか。
さて、戦いは最高潮に達し、子供らしく、つい本気で怒り出す晋平(次男、小6)を、「いい加減にしろ!」と毅然たる態度で叱り飛ばす相原君。これには他の生徒達もハッとし、尊敬の色を浮かべていました。遊びを通して、1つの"群れ"が形成されつつあり、相原君がそのリーダーになる可能性が出てきたのかなという印象です。
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