今朝は7時からまず正座して黙想。一人ひとり、改めて姿勢を正され、静かにじっとしていなければなりません。それから礼、挨拶の練習。声を大きく、はっきりと。
これも、真剣に取り組める生徒は残念ながら多くはありません。まず、相手を敬う気持ちがなければ、ただ声が、音が出るだけになってしまうからです。
生徒の中には、相手の目を見るどころか、顔を上げることもできない、もちろん、会話もできない人達もいます。彼らは、そもそも人と関わろうとせず、そのため言うべき何ものもないという時もありますし、言いたくても(たぶん怖かったり、または恥ずかしくて)、声にならないこともあります。
みんな、一見おどおどしているようですが、根底には「自分は周囲の人達より偉いのだ」という根拠のない自信のようなものがあり、話は更にややこしくなります。こちらから働きかけても「うん」と頷くだけ。(「うん」ですって?これでは2〜3歳の幼児ではありませんか!)ちょっと注意すると「頑張ります」――言葉が言葉になっていない。ただの音でしかありません。
この、やたら無口な人達がいる一方で、とてもおしゃべりな生徒もたくさんいます。考えるより先に、口から言葉がとめどなくあふれてくる。いわゆる軽口をたたく手合いですが、このタイプが2〜3人集まると、時と所をわきまえずエスカレートしてしまいます。
この人達は落ち着きがなく、常に誰かとしゃべっていないと不安なのでしょう。が、意味のない会話は果てしなく続き、それは会話と言うより雑音に近いものです。ですから、たぶん永遠に満たされることがないのでしょう。これでは人間関係が希薄になるのも当然のことです。
また、このグループに特徴的なのは、自分の事ばかりしゃべりたがるということです。これには少々閉口してしまいます。
さて、午前中はまた、ボードとセールの修理。うんざりしながらも、みんな結構熱心にやっています。ただ、林君(32歳、家庭内暴力)はまだ、ため息をつきながらセールを眺めています。野島君(22歳、元無気力)は黙々とマイペースで針を動かします。
夕食時、ふと見ると林君のお箸の持ち方が間違っています。もしかしたら、他にも間違っている生徒がいるかもしれません。夕食後、お箸の持ち方をテストすることにしました。手近にあった将棋の駒をお箸でつまむというもので、面白がってやって来たほとんどの生徒は合格。が、先程の林君と地平君(24歳、元無気力)は不合格で、さっそくお箸の持ち方講習会が始まりました。
少々手こずりましたが、コーチの親身の指導の甲斐あって、ちゃんと指が動くようになりました。その後は、みんなで将棋の駒をお箸でつまみ、ドミノ倒しのドミノのように並べてみたり、果ては投げた駒をお箸でつかむという芸当にまで発展し、お箸の可能性を広げたのでありました。
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