| 2004年1月27日(火) |
合宿所便り NO.84「"中身"はまだ」 |
沖縄の海上訓練でケガをしてしまった女子生徒と男子生徒がいます。
2人ともケガという事実は同じでも、内面を見ると大きな違いがあります。それは、怪我の回復程度に応じ、朝の体操や海上訓練を、"やる"のか"サボる"のかの違いです。ほとんどの訓練生が、このいずれかのタイプに分類できると言っても過言ではないでしょう。
「昨日より良くなりました。訓練に参加できます」と、できる範囲で参加しようとするのが女子生徒。対して、ケガをいい事に、いつまでも療養しようとするのが男子生徒です。彼は、こちらから回復度を聞かなければ、何も言ってきません。そのまま、常態化してしまうのです。
「いい加減にしろ!もうやれるはずや!」と、痺れを切らして一喝すると、急にやり出します。"指示待ち"がすっかり身にしみてしまっているのか…。それにしても、自分と同じ年頃の女子が、同じ境遇でも頑張る姿を見て、恥ずかしく思わないのが不思議でなりません。これこそが、彼の問題点なのでしょう。
スクールを訪ねて来られ、たまたま生徒を見た方々は、口々に「この子達がなぜここに来ているのか分からない。全く問題があるようには見えない」と言います。挨拶はきちんとできるし、礼儀正しい…。しかし、それはあくまでも、恐い存在のコーチが目の前にいるという条件だからこそ、できることなのです。まだまだ本物ではありません。
さて、沖縄合宿の4分の1は「観光」を楽しみます。日本と言っても、元は琉球王国。本土との違いを肌で感じるのも勉強です。
ある記念館に見学に行きました。歴史的に有名な場所。ガイドのおばさんが、生徒に「ここを知っているか」と尋ねました。彼はニヤニヤしながら、体をくねらせ、"タメグチ"で答えています。
また、沖縄にしかないファーストフード店に行った時の事です。ハンバーガーと、「フリードリンク」を注文しました。ジュースが好きなだけ飲める機会など滅多にないので、生徒達はドリンクスタンドに殺到。見かねた店員が、親切に生徒の座っているテーブルにだけ、ドリンクを度々注ぎに来てくれました。この対応に、生徒達は大はしゃぎするだけ。「ありがとうございます」の一言もありません。
もちろん、私達コーチはこんな態度を見逃しません。その場で駆け寄って大声で叱りますから、あたりは凍りつきます。
観光や自由時間こそが、彼らの本性の現れるところ。長い年月をかけて身についてしまった「悪習」の現れるところです。"訓練生"ではない、"普段"の「彼ら」が現れるのです。こういう時の「彼ら」を見ると、私達の声は本当に届いているのだろうかと不安になります。
午後10時の消灯時間。疲れて重い体を寝具に突っ込む生徒達。
静まりかえった闇から、虫の音が大きくなり、「ああ、ずっと鳴いていたのか」と気づかされます。そういえば、本土では残暑の終わりを告げるかのように、虫たちの鳴き声が秋を運び、冬の到来を感じました。そして今は、厳しい冬の寒さの真っ只中にあるんだった…。
ちょっと離れただけで、本土のことを想像することもなくなっている自分に驚き、今日も一日が終わります。
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