2004年1月8日(木)    合宿所便り NO.78「今日から沖縄合宿」

初めまして。新入コーチの山本直樹です。沖縄合宿期間中は、横田コーチ(女性)に代わり、私がレポートします。皆さま、よろしくお願いします。

冬の厳しい寒さは河和(こうわ・愛知県の合宿所)に置いてきて、南国・那覇空港に到着です。
さっそく私達はTシャツ姿になり、「暑い、暑い」を連発しました。寒さに弱い瀬尾君(21歳、無気力)は、5枚も重ね着していたので一挙にサウナスーツ化し、中身が溶けてしまいそうです(笑)。
生まれ故郷が近い九州出身の3人の生徒は、懐かしい気候を身体に受け、郷愁に胸をつかれている様子。いったい何を感じているか…。

さて、沖縄の合宿所は、本島北部=山原(ヤンバル)の本部町にあり、ここで新しい合宿生活が始まります。
さっそく、「私が動いてしまうと、後輩達は私まかせにして動きません。だからやらせます!」
と、先輩としてゲキを飛ばすのは林君(32歳、元家庭内暴力)です。
「オイッ、きみは班長なんだから、ちゃんとみんなの面倒を見ろ!」
「きみ!ガスと水の使い過ぎに気をつけて!」
「新人!洗い物の仕方を知らないのなら、よく○○さんを見なさい!」…

最近の林君には、こんなエピソードがあります。
ある日、林君に相談を持ちかけた新人のA君。
A君「林さん、早く1階に行きたいです」
   ※ヨットスクールでは、新人は2階でコーチ達と暮らし、ある程度認められたら、
    1階に降りて生徒同士で生活できる。
林君「だったらもっとガンバンなきゃ!いつまでも同じ事をするんでない!」
A君「………」
慰め言葉を期待していたのに、間髪入れずに切り捨てられ、A君は呆然。

いっぽう、沖縄合宿中、料理主任に昇格したのが秋吉さん(中2、元不登校)。うれしさいっぱいの様子です。献立作り、買い物、調理準備と、大忙し。でも、任された役割はきっちりこなします。
訓練生に限らず、何かを任されるのはうれしいことなのです。信頼されるから任され、その信頼がうれしい。うれしいから、任されたことはきっちりやる。そして、きっちりできれば、その喜びもある。
仕事役割の中には、そういった無形の素晴らしいものがあるように思います。毎食の食事にも、「頂きます」、「ご馳走さま」――私達はもっと心から言えなければいけません。また、生徒達には、「喜んでもらえる喜び」というものを知ってもらいたいと思います。

若者よ、「唐旅する」!

合宿所の隣に住む、元気で陽気で人なつこいおじいさんは、よく私達の世話をしてくださいます。まだ戦前だった子供時代の話、戦争の話、沖縄の歴史…。おじいさんの経験を、自分を振り返るように語ってくれます。

――沖縄には、『唐旅する』という格言があります。
沖縄は貧しい島でした。今では誰もがお米を口にできますが、本来の主食は芋です。
生きていくのが精一杯だった大昔、意を決した人々は、唐(から)を目指し、荒海に小船で旅立ちました。ほとんどの人が海に命を落としましたが、帰ってきた一握りの人は貿易に成功し、金銀財宝を抱えていました。
この言い伝えが残り、何事にも命がけの意気込みで臨むことを、『唐旅する』というようになったのだそうです。――
   ※唐(618〜907年頃の中国。それまでの中国の歴史の中で、
    最も政治や文化が栄えた時代と言われています)

「若者よ!これからだよ、『唐旅する!』」――人生の先輩が、私達に示すものです。この貴重な話を聞いたのは、去年の沖縄合宿の時ですが、今年の合宿でまた思い出しました。「今頃思い出しているようでは…」などと思いながら、沖縄合宿の始まりです。


※文中の生徒名は全て仮名です。

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