2004年2月17日(火)    合宿所便り NO.88「広がる世界」

ここしばらく春の日和が続き、薄紅色の桜も、周りの緑に同化されるようになりました。まだ薄紅一色だった景色の頃、クロアゲハの群れが舞い彩っていたのが懐かしく思い出されます。

さて、風が本当に吹かなくなってしまった今日は、瀬底(せそこ)島へダイビングに行くことになりました。
「シーガル(夏用ウェットスーツ)に着替えて潜ってこい!」と山口コーチ。
訓練生全員、目を輝かせて冷たい海に駆け込みました。

浅瀬の波打際にヒトデがいます。「これは!?まさか…」と思い、駐車場まで一目散。車を開けて、「海の危険生物」と書いた手帳を取り出します。クワッと瞳が開きました。やはり、とげに強い毒を持つ、「オニヒトデ」だったのです(死亡例も報告されている)。

早速、散らばった生徒を集結させ、「緊急危機管理講習」です。
ぞろぞろと集まる生徒達。今から説明される足元のオニヒトデを見下ろしています。苦い顔が全部揃った頃、手帳を渡して生徒に音読させました。
聞き入る生徒達の顔はたちまち暗黒模様。鼻をいがませ、唇がいびつに開き、歯が抜けそうな、何とも言えない顔になりました。この顔を見れば、危険生物の方が近寄らないことでしょう(笑)。

講習が終わり、改めて訓練生達は海に散ります。その後を、ゴーグルを着けてついて行きました。
海に潜ってみると、別世界が現れました。
海中は蒼さ一色で、盆栽のような珊瑚の森が広がっています。そこを、住家としているディープブルーのコバルトスズメや原色の鮮魚達が彩ります。一瞬、異次元の世界にいる錯覚を覚えました。自分が、今どこにいるのか不安にさえなり、たまらず海面へ飛び出しました。

この珊瑚の森の上を空飛ぶ大巨人のように、生徒達は波と戯れ、プカプカと浮いています。この綺麗な景色を知らないでいる彼らに、たまらずゴーグルを手渡しました。


※文中の生徒名は全て仮名です。

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