| 2004年2月20日(金) |
合宿所便り NO.90「自然の存在に気づく時」 |
快晴の毎日。今日は、久しぶりに風が吹きそうなので、艤装開始です。
この忙しい時間の中、どこからともなく聞こえてくる一つの音色…。
その深い、呼吸のような軽やかなさえずりに、つい耳を澄まします。瞼を閉じて吸い込まれそうで、余韻に慕ってしまいそうにもなります。ウグイスが鳴いているのです。
姿は見えませんが、本土より一足早く春を運んできました。
さて、艤装に掛かる時間は普通、早い人なら15分から20分です。しかし、訓練生達は1時間がザラ。1番遅い生徒では2時間を費やします。毎日、毎日やっている作業なのだからもっと早くできるはずですが、ほとんどの者がマイペース。
ですから、制限時間を20分と決めておかなければなりません。20分が過ぎた時点で、早い者から順に、スクワット(足腰のトレーニング)100回を加算していきます。情けないことに、こういう必然があって、初めてエンジンが始動するのです。
そして訓練開始です。…が、今日はとんでもない物が浜辺に打ち上げられていました。
「生きているウミヘビが打ち上げられています」と、報告に来たのは江口君です。
早速、頭を押さえ、胴を首に巻き、蛇使いのような格好で「危機管理講習」の開始です。
ウミヘビは猛毒を持ち、ハブ毒の80倍だと言われています。性質はおとなしく、口も小さくて被害は少ないようですが、噛まれて放っておけば、高い確率で死亡してしまいます。これだけは、絶対に知っておかねばなりません。
講習を終え、別の浜へ逃がしました。不発に終わった毒牙は、なりを潜ませて帰って行きました。ああ、恐ろしや…。
海上訓練中、セール(帆)が破れて張り替え作業をする秋吉さん(中2、元不登校)。
彼女について広場に上がると、いつもと違う静けさに驚きました。
木々は、風にあおられ、そのざわめきにいつの間にか聞き入っていました。すると頭上から、細やかに木を打つ音が聞こえて来ます。
秋吉さんは、セール(帆)の張り替えに夢中で気づきません。小さい声で、彼女を呼び止めました。
その音の正体を知った彼女に、笑みがほころびました。それはキツツキだったのです。
「作業、作業、訓練、訓練」で頭の中がいっぱいの時には、この新鮮な時間を知ることもありませんでした。頭が硬くなっている自分に気がついた次第です。
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