| 2004年2月4日(水) |
合宿所便り NO.86「"自分"への挑戦」 |
沖縄に来て、ウィンド技術が群を抜いて上達したのが真木君(中2、元不登校)です。ジャイブ(風下への方向転換)も8割近く成功するようになり、プレーニング(滑走状態)で海原を快走し、ジャンプで他の訓練生を沸かせます。彼を見る訓練生達の羨ましそうな面持ち。今の真木君は、彼らの立派な見本になっています。
生活面では、こんな事がありました。ある物を買い忘れて材料が足りなくなり、料理主任の女子生徒に叱られるという場面です。いつもの彼なら、怖い彼女に言われるまま、萎縮して何も言えなくなります。しかし、あんまりしつこく言われたので、初めて言い返しました。思わぬ反撃を食らった女子生徒は、呆気に取られています。が、さらに口論は続き、他の生徒がその場を収めました。弱い者にしか立ち向かえなかった彼にとって、これが1つの変化になれば素晴らしいことです。
沖縄に来て浮力の少ないボードに替わり、走り出しに苦労していた白岩さん(18歳、元非行)も、やっと走り出せるようになってきました。練習熱心な彼女は道具をよく壊し、修理に追われています。最近、「ビーチスタート(一気乗り)ができるようになったし、前足だけストラップに入ってとても嬉しかった!」と、技術が向上する喜びを覚えています。
まだ10代の訓練生達は、入校前は無駄な時間ばかり費やしてきました。そんな無駄事に放射されていたエネルギーが、「自分はなぜここに連れて来られたのか」という大問題に向かい始め、ウィンドを通じて「自分自身」に挑んでいます。
エメラルド色の綺麗な海は、深さが分からない程、海底まで透き通って見えます。突然現れる石壇のような珊瑚を避けながら滑走していると、白波達が音を立て、手を伸ばし追いかけてくることに気が付き、思わず笑みがほころびます。滑走している私達は、まるで池に群がるトンボのよう。あとは曇った空が晴れ渡れば、文句はありません。
紅の原色から白みを帯び、一段とほころんだ沖縄の桜は雨に打たれ、いつの間にか果実の如く地に落ち出していました。緑の葉が目立ち、花盛りも見納めかもしれません。ヒラヒラと、はかなくも大胆に舞い散ってしまう本土の桜には、その季節の中に一生があるように感じさせられます。
海上訓練が終わり、合宿所に向かう帰路は山道です。たまたま、サトウキビを運搬する輸送車が先頭を走り、後に続く車の列を長くさせました。車中、訓練生達は揺られながら気持ちよく眠っています。
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