2004年3月5日(金)    合宿所便り NO.96「秋吉さんの努力」

沖縄合宿も、残すところ後2日となりました。明日は、プライベートビーチである屋我地(やがち)島へ行き、ウィンドサーフィンの道具一式を引き払ってきます。明日からは後片付けに追われ、ゆっくりできないでしょう。今晩が、ゆっくりできる沖縄最後の晩餐でもあります。

「最後の日はゴーヤーチャンプルーをやろう!」と、沖縄最後の夕食の意味合いを考え、自信たっぷりの秋吉さん(中2、元不登校)。
自信たっぷりなのには、訳があります。実は、このメニューは今晩で3回目なのです。

その日のメニューを決定するのは、料理主任である彼女です。ですがある日、
「今晩は、ゴーヤーチャンプルーにしろ!」と、突如みんなに言い渡したことがあります。
彼女の描いていたメニューが打ち壊された瞬間でもあります。予測もしていない注文に、彼女は思考停止。やっとこぼれた言葉が、
「…材料とか、作り方とか分かりません」。
即、「誰かに聞け!」と言いました。他の生徒は知っているからです。

しかし、彼女は他の生徒から情報収集しませんでした。この料理全体のイメージがつかめない彼女は、訳も分からないまま、全然違う物を作ってしまいました。
「なんだこれは!」と、叱りました。
「…すみません」と、力なく答える彼女は、皆の前で恥をかきました。
知っている多数の生徒達は、口々にゴーヤーチャンプルーの材料や作り方を言い合っています。

公の場で恥をかいた彼女は、「今度こそはきちんと作ってやる」という気持ちに目覚めました。
その夕食後、ゴーヤーチャンプルーの全体像を掴もうと、必死でみんなに聞いて回る彼女。料理の本もなく、見た事も作った事もない料理。頼りなのは、みんなが口々に言う言葉だけ。そこからイメージを膨らませていきました。

そしてある日の夜、「明日はお客様が帰られる日だから、ゴーヤーチャンプルーにしよう」と、自分から言い出しました。
翌日、夕食の出来を見て驚きました。見事なゴーヤーチャンプルーだったのです。

そして3回目となるこの日。最後の晩餐会です。
コーチの、「おいしくできたな」という言葉に、彼女の表情が変わります。

知らない事、できない事をあきらめなかったから、彼女は喜びを掴みました。いつまでもその気持ちを大切にしてほしいです。


※文中の生徒名は全て仮名です。

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