U章 ヨットスクールがしてきたこと (前)
ヨットスクールでは、まず情緒障害児特有の甘えを否定します
私たちは子供たちに対して、あくまで"他人"として接します
頭を坊主にすることで、子供たちの世界を一度分解することができる
■手紙@――明男君の母からの報告明男君は、そういう状態で入って来たわけです。もちろん、私は受け入れました。入校して来たその日に、明男君は坊主になりました。坊主にする理由を、こちらはくどくどと説明しません。する必要もないでしょう。彼に必要なのは、まず有無を言わさず立ち塞がってくる壁を見せることです。自分で越えなければならない壁を目の前に作ってあげることです。文句を言えば、それが吸取紙のように吸収されてしまう母親的存在ではなく、手ひどく跳ね返ってくる厳しい他人(大人)なのです。
「前略ごめん下さい。息子・明男は22歳で無気力そのもの。絶対に働かず(社会が怖いのかも)、親にしがみついていると言えます。日常のこと一切に口を出し自分はやらず文句ばかり。
保育園に入った時から行くのを嫌がり、皆と一緒に登園せず私が毎日連れて行きました。初めての夏休み前日、ひきつけを起こし、小学2年まで年に2回やるようになる。それ以後はない。現在でも脳波は多少の異常波はあるものの薬を飲む程ではなしとのことで現在に至っております。
小学1年の時に脳波検査を受け、その時の先生にはテンカンと言われる。以後、中2迄薬を服用する。小学校に入学しても登校拒否をやり、小3の2学期迄は私が連れて行きましたがそれ以後は途中の松の木にしがみつき連れて行けなくなり、その後は自分で行ったり休んだり、時間になると腹が痛くなったり頭が痛くなったり。少しでも注意すると、頭が痛いと言って泣き、頭をタンスや壁にぶつけたりしました。
医者にガミガミ言うなと言われ、注意しなければいけない生活態度でしたが以後2年間位、親がじっと我慢の子をしましたので、我儘になりました。小3の時、盲腸手術入院中夜中にぐずぐず言って同室の者が嫌がりました。小さい時からかんしゃくもちですぐ怒ります。数学がわからんと言っては私に聞くので図入りで説明すると、自分は違ったやり方で式を書くと言う塩梅です。そしていつも教える度に私が殴られるのです(自分がわからないのに私がわかるため腹が立つのです)。これは何べん言ってもだめでした。友達の家へ遊びに行くのにも、相手の家へ声もかけられず、ただ近くをぐるぐる廻ってるだけで、家人が気づいて声をかけてくれてやっと家の中へ。親の顔もよく知っているのにだめなのです。人みしりは小さい時から激しい。又、保育園の時に私が用事で息子を連れて出かけた時も、相手の家の入口から3m位離れた所に止まり、どうしても家の中へ入らずに泣く。
中2の時、私が注意したのが気に入らず2学期末試験をボイコットし、俺は困らない、母ちゃんが困るだけだと言って澄ましている。こんなことすると自分が困るのよと注意してやるのだが、3年1学期末に又もや平気で休む。先生に伝えると今度はやらないでしょうと言うので、絶対にやりますよと伝え、その通りとなる。この時も、私が日常の生活のことで注意したのが気に入らんと言ってやったのです。そして本人は俺は困らん、母ちゃんが困るのだと言っていた。
中学へ入学してから担任の先生に相談したが、学校は関係ありませんとはっきり言われた(あんまリ体むので)。
中3の1学期に又、休みが激しくなり、9月から児童相談所へ55日入所。それ迄は、2年頃からものも言わず、暴力はふるう、お前、ばばあ、と言葉の暴力と行動の暴力。自分は絶対に悪くない、人が悪いと。どこが悪いか教えてと聞くと、自分で考えよと言って教えてくれず、相談所から帰って来てから少しづつ話す言葉も増え、母ちゃんと言うようになる。
高校へ入学してから始めの4月は張り切って行くが5月にぼちぼち休み、6月に又多くと、いつもと同じパターンだ。2学期になったら全然行かず、休むにつれて授業がわからず行ってもしょうがないというようになる。以後、数学の表彰状を渡すから出て来いと言っても行かず、留年。自分と同学年の人達が3年になる時、本人は3月31日迄待ってくれと言うのだが、先生達は10日迄に退学せよとばかりに迫り、嫌々退学させられる。そして、退学届に心身症のためと書くと、家庭の都合と書き直せと言ってくる(学校いわく、普通の人でもおかしくなるから、退学して学校のことは忘れろと言う)。
中学を卒業してから保健センターへ通ったが、そのうち本人は行かず私だけが話しに行く。
1、 今でも自分の気にいらないと暴力をふるい、近くのものを壊す。自分は布団の中で人に命令している。
2、 電話は2年位前にやっと出れるようになったが自分からはかけれず。
3、 自分の気に入らないテレビ番組を見ていると、馬鹿になるから消せと文句を言って消しに来る。そして自分は変な番組を見ている。
4、 主人と話をしていても、割込んできては反対し私の頭を叩く。人の頭は冗談でも叩いてはだめだよと注意するが、ダメ。
5、 何でも俺に話をせよ、そうでないと坐り込むぞと言う。これはバイクを入れるのに物置を少し直す話を業者としていたのです。このように日常のことにいちいち口を挟み、自分のことは何もせず考えずこのままでいいと言っている。
6、 買物して来ると袋の中を覗き、日常の道具はこれはいらんから捨てるぞと言って処分しようとする(自分のものでない)。
7、 1つのことにこだわるので何べんも同じことを言う。家の中を時々、独り言を言って歩き回るし、物を置くにもまるで壊れ物を扱うようなやり方。新聞記事を見て興奮し、反論して歩きながらぶつぷつ言っている。時には畳を叩いている時もある。
8、 すぐに興奮するので、殴ったり、壊したり、その時は自分は痛くないのではないかと思う(手が体が)。
9、 水を使って洗う時は、念が入り過ぎているので自分は洗はず、人にやらせてからそれを又洗う。人の気持ちなんか考えたことないのではないかと思う。人が仕事をして手が離せなくても自分は布団の中から命令し、こっちが聞かないと怒り出す。
10、 私が時々間違えることがあると、母ちゃんしっかりせーよと言う。自分は?
11、 自分は何もわからんくせに決めつけてくる。本当に、何も知らない。
12、 現在は家の中、昆虫のことになると夢中になる。夏になると一遍だけ山梨の昆虫の会から手紙が来るので、その時だけ出かける。1回目はビジネスホテルヘ1泊。2回目は行きと明<る日2泊して来たが、風呂へは入らず。
13、 私が帽子をかぷると気に入らん、やめろと文句を言う。人の勝手でしょうと言うと文句を言わんとヘエコラしていることになるから、言うのだとのこと。
だいたいのことを書きましたが、まだ望みはあるでしょうか。とにかく私が憎くてたまらないのです。そういう感じですので何でも反対します。お願いできるでしょうか。
主人は自分から動こうとしません」