[章 親は何をすべきか (前)
頭が悪いのではない。頭を働かせるコツを知らないだけだ
無気力タイプに見えた子供が、思わぬほどの芯の強さを見せる
昨年、4隻のクルーザーで外洋に出たことがありました。コースは知多湾を抜けて外洋に出ると一路南下する。潮岬の沖を通って奄美まで行き、夏季合宿をやろうというわけです。カチン、カチンになった心は、ぬくもりだけでは元に戻らない
■手紙K――卒業生の父親からの報告こういう手紙を、何十通、何百通ともらいました。
「粛啓 涼秋の候、朝夕はめっきりと過ごしやすくなって参りました。早速お手紙を差し上げるべきものを雑事に追われ、心ならずも延び延びとなり、申し訳ございません。
本当にありがとうございました。
洋一(注・仮名)が元気いっぱい、1人で飛び起き、さっと制服に着替えて食卓にやって来ます。一家5人、早朝の食卓を朗らかに囲めるようになりました。
今日は私の休みの土曜日です。中学生らしい生き生きとした表情で"はあい、行ってきまーす"などとおどけながら玄関を出て行く洋一の姿を目の前にして、感謝の気持ちで一杯です。
仕事柄、相変わらず夜遅くの帰宅が続いておりますが、洋一は就寝時間ぎりぎりまで私を待っていては学校のことを話してくれたり、宿題のわからぬところを聞いたりして、安心したようにすっと寝入ります。ヨットスクールにお世話になる前は私を避け、おどおどしていた姿がうそのようです。(この様な親子関係につきましては、その責任は私の側にあったのですが……)
最近の洋一の様子をお伝えするのに、洋一の話してくれた出来事を書き添えます。
"ぼく腕相撲、クラスで1番強かったよ!"ヨットスクールにお世話になる前は、2、3回の腕立てがようやくだった子が……。夏に面会に参りました時には、女房にもかなわなかった子が……。(今では、女房は勝てなくなってしまいました)
"学校って、すごく楽しいんだ。ぼくのクラスは1番いいクラスだよ。先生のあだ名は火星ちゃんって言うんだ"とか"先生は優し過ぎるよ。今日ね、掃除の時クラスの子が、どうしてぽくらだけ掃除するんだよってなまけようとしたら、先生が、おい洋一クン、頼むよだって。ぽくはやったけど、先生もっと厳しくなくっちゃ"
などと話してくれます。
洋一が寝た後、夫婦で話をしながら、あの洋一が変われば変わるものだと思わず笑いが込み上げてきます。洋一の登校拒否の原因は、私達夫婦、特に私の生活の乱れ、自己を厳しく律していくことが十分でなかったと反省し、家庭生活の再建に取り組んでおります。
洋一の元気になった姿を見るにつけ、コーチの皆様の昼夜をわかたぬ御努力にはただただ頭の下がる思いです……」
■手紙L――ヨットスクール卒業生からの報告もちろん、私の元に届くのは、こういう手紙だけではありません。
「お元気ですか?私は元気で働いています。仕事にはだいぷ慣れましたが、慣れた分だけどんどん嫌な事が増えていくみたいです。従業員の間の問題とか……。
でも仕方ないんですヨネ。どこでも同じだもの……。○○、△△、××(いずれもヨットスクールにいる女の子の名前)、皆元気ですか?よくヨットスクールに居た時の事を思い出します。ヨットスクールに居た時の方が楽しかったなぁーなんて勝手な事を思う時もあります。甘えてるんでしょうけれど、寂しくて、寂しくて仕方ありません。
それでも甘えてなんていられませんよネ!ヨットスクール根性で頑張らねば!!
事務所にもなかなか行けなくてごめんなさい。奥様はじめ皆さんに会いたいんだけど、ヨロシク言っておいて下さい。近いうちに必ず伺いますので。
また生徒増えたんでしょうネ。台所の方はてんてこまいじゃないですか?合宿所に全員寝られてます?キューキュー詰めなんでしょう、きっと。もうそろそろ海も冷たくなってきたんじゃないですか?体に気をつけて下さいネ。もう今年も2か月足らずで終わりです。1年なんて、本当にあっという間ですね。ヨットスクールも今年は、本当に色んなことがありましたね。これからは無事に過ごせる様、祈ってます……」