まさしく大新聞が、警察の尻を叩いて逮捕させたようなものだった。
当時、各紙が狂ったように反戸塚キャンペーンを展開。それに煽られて愛知県警は戸塚宏氏(59)を傷害致死で逮捕した。が、問題児を抱え、今でも戸塚ヨットスクールを頼る親は絶えない。


 「マスコミにとって、戸塚さんの風貌は叩くのにピッタリでした。新聞は、体罰は正しいんだという信念を持っていた戸塚さんだからこそ叩いたのでしょう」
と、評論家の徳岡孝夫氏はいう。
 戸塚宏氏が、戸塚ヨットスクールを開校したのは昭和52年。スパルタ訓練によって、登校拒否や家庭内暴力の子供を立ち直らせたという実績が評判を呼び、問題児を抱えた親が、次から次へと子供を預けに来た。
このままでは家庭崩壊というところまで追い詰められた親たちが、最後の駆け込み寺とたのんだのが戸塚ヨットスクールだったのだ。だが、日頃、子供の人権を説き、体罰絶対反対のマスコミにとって、スパルタ容認の戸塚ヨットスクールの存在はおもしろいわけがない。
 「昭和57年に、中学1年のスクール生が訓練中に亡くなったことから、"反戸塚"のキャンペーンが始まった。それに対して、戸塚氏が体罰は正しいという発言を繰り返したことが、バッシング報道の火に油を注いだんです」
とは、当時、取材にあたったジャーナリスト。
 大新聞に煽られて、愛知県警は昭和58年に戸塚宏氏を傷害致死で逮捕。
平成4年、名古屋地裁の判決は、懲役3年執行猶予3年。
平成9年、名古屋高裁での判決は実刑6年となり、現在、最高裁に上告中である。
 もっとも、大新聞や警察が、よってたかってスクールを潰そうとしたが、いまでも戸塚ヨットスクールは存在している。


信念は揺るがない

 「最高裁でいかなる判断が下されようと、私の信念はいささかも揺らぐことはありません」
と、戸塚宏氏はいう。
 戸塚校長は、3年間も拘留されたが、保釈後の昭和61年にヨットスクールを再開。現在、4人のコーチとともに、5人の生徒の訓練を行っている。
「生徒は15歳から35歳まで、いずれも家庭内暴力や非行で手がつけられなくなった男性ばかりです。非行は、窃盗、暴行、傷害、薬物などあらゆる種類に及びます」
 訓練は、午前中2時間、午後4時間。ヨットではなくウインドサーフィンで行っているそうだが、いまでも問い合わせは引きも切らない。2年前からはインターネット上にスクール内容を紹介するホームページを立ち上げたが、平均して毎日10件前後のアクセスがあるという。
 「問題児でも、うちに来ればアッという間に言うことを聞くようになりますよ。体罰を用いなくても、子供は強い人間の言うことを聞くようにできているんです。
登校拒否なんか、人間性を強くすれぱすぐ治ります。トレーニングによって、脳の情報処理能力を上げてやればいい。そのためには、ウインドサーフィンのような危険なスポーツをして、下手をしたら死ぬかもしれないなということを体感すれぱいいんです。
そうやって体を鍛えたら、登校拒否なんて起きないし、学級崩壊もありません」
 もちろん訓練には体罰をともなうこともある。
「体罰なんてやらないほうが楽だけど、子供のためには必要不可欠なんです。
それに体罰を受けた子供は安心するんですよ。この人は、自分を守ってくれるんだということを、体罰によって体感できるんです。
今の子供たちは、褒められてばかりで体罰を受けていません。神戸の少年Aや京都の"てるくはのる"、新潟の37歳にしろ、みんな褒められて育ってきた。子供というのは褒めるだけでは駄目なんです」
 学校教育が、体罰を禁じた結果はどうだったか。
「まちがっているのは、みんな平等で自由という戦後民主主義の考え方です。先生と生徒が平等なんてありえません。日教組が作り出し、マスコミが宣伝したためにこんな間違った考えが広がった。
たかが子供なのに、自分と平等だと思い込ませ、しかも必死になって教師が生徒よりも低いところに下りてしまった。人間は下の者の言うことなんか聞きません。先生が好んで生徒の下に行ってしまったので、学級崩壊という現象が起きたのです」
 戸塚校長の持論は、戦後教育に対するアンチテーゼでもあった。が、ジャーナリストの小板橋二郎氏はいう。
「当時のマスコミ報道のおかげで、体罰は一切できない、やってはならない、という風潮ができあがってしまったのです。
親や教師が子供を殴れなくなってしまった。それが今日の少年犯罪や大人に成りきれない者の異様な犯罪を引き起こしている原因であることは明らかでしょう」
 学校教育が歪んでいる限り、戸塚ヨットは不滅。